疲れやすい、めまいがする、顔色が悪いと言われる…。こうした症状に心当たりがある方は、もしかすると鉄分不足が関係しているかもしれません。
鉄分は血液中のヘモグロビンを作るために欠かせないミネラルで、全身に酸素を届ける重要な役割を担っています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、成人男性の鉄分推奨量は1日7.5mg、月経のある女性は10.5mgとされています。
この記事では、鉄分を多く含む食品をカテゴリ別に紹介しつつ、吸収率を高める食べ合わせのコツもまとめました。

ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
食品に含まれる鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。この違いを知っておくと、効率よく鉄分を摂取できるようになります。
ヘム鉄は動物性食品に含まれ、吸収率は約15〜25%と高めです。レバーや赤身肉、カツオ、マグロなどに多く含まれています。一方、非ヘム鉄は植物性食品に含まれ、吸収率は約2〜5%にとどまります。ほうれん草、小松菜、大豆製品、海藻類などが代表的です。
非ヘム鉄は吸収率が低いですが、ビタミンCやタンパク質と一緒に摂ることで吸収率がアップします。レモンを搾る、肉や魚と一緒に食べるなどの工夫が効果的です。
鉄分が多い肉類
レバー
レバーは鉄分の宝庫です。豚レバーは100gあたり約13.0mg、鶏レバーは約9.0mg、牛レバーは約4.0mgの鉄分を含んでいます。しかもヘム鉄なので吸収率も高く、貧血対策には心強い食材です。
レバーが苦手な方は、レバニラ炒めやレバーペーストなど、臭みを抑える調理法を試してみてください。牛乳に30分ほど浸けてから調理すると臭みが軽減されます。
赤身肉
牛もも肉は100gあたり約2.7mg、馬肉は100gあたり約4.3mgの鉄分を含みます。赤身肉はタンパク質も同時に摂れるので、栄養バランスの面でも優秀です。

鉄分が多い魚介類
貝類
あさりの缶詰は100gあたり約30.0mgの鉄分を含み、食品の中でもトップクラスの含有量です。しじみも100gあたり約8.3mgと優秀で、味噌汁に入れて日常的に摂取しやすい食材です。
牡蠣も100gあたり約2.1mgの鉄分を含んでおり、亜鉛も豊富です。
魚類
カツオは100gあたり約1.9mg、イワシは100gあたり約2.1mgの鉄分があります。サバ缶(水煮)も100gあたり約1.6mgと手軽に鉄分を補給できます。魚介類のヘム鉄は吸収されやすいため、週に数回は魚料理を取り入れると良いでしょう。
鉄分が多い野菜・豆類
葉物野菜
小松菜は100gあたり約2.8mg、ほうれん草は100gあたり約2.0mgの鉄分を含みます。どちらもおひたしや炒め物、スムージーなど幅広い料理に使えます。
枝豆は100gあたり約2.7mgで、おつまみとしても食べやすい食材です。
大豆製品
納豆は1パック(約50g)で約1.7mgの鉄分が摂れます。木綿豆腐や厚揚げも鉄分を含んでおり、毎日の食事に取り入れやすい食品です。高野豆腐は100gあたり約6.8mgと、乾物の中では鉄分が豊富です。
海藻類
ひじき(乾燥)は100gあたり約6.2mgの鉄分を含みます。ただし非ヘム鉄のため、ビタミンCを含む食材と合わせて食べると吸収率がアップします。ひじきの煮物にレモン汁を加えたり、パプリカと和えたりするのがおすすめです。

鉄分の吸収を高める食べ合わせ
ビタミンCと一緒に摂る
ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を促進する働きがあります。パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちご、レモンなどのビタミンC豊富な食材を、鉄分の多い食品と組み合わせましょう。
例えば、ほうれん草のおひたしにレモン汁をかける、ひじきの煮物にブロッコリーを添える、小松菜とキウイのスムージーを作るなどの工夫が効果的です。
タンパク質と一緒に摂る
動物性タンパク質に含まれる「ミートファクター」という成分が、非ヘム鉄の吸収を助けることがわかっています。野菜や豆類の鉄分を効率よく吸収したいなら、肉や魚を一緒に食べるのが効果的です。
クエン酸と一緒に摂る
梅干しや酢、柑橘類に含まれるクエン酸も鉄の吸収をサポートします。酢の物やマリネ、梅肉和えなどは鉄分補給にぴったりの料理です。
鉄分の吸収を妨げるもの
以下の成分は鉄の吸収を阻害する場合があります。鉄分の多い食事の前後は摂取を控えると良いでしょう。
- タンニン(緑茶・紅茶・コーヒーに含まれる):食事中よりも食間に飲むのがおすすめ
- フィチン酸(玄米・全粒粉に含まれる):鉄分の吸収を妨げることがある
- カルシウム(牛乳など):大量に摂ると鉄の吸収に影響する場合がある
貧血が気になる方への食事のヒント
貧血が気になる方は、以下のポイントを意識した食事を心がけてみてください。
まず、1日3食きちんと食べることが基本です。欠食が多いと鉄分の摂取量が不足しやすくなります。特に朝食を抜きがちな方は、卵料理やシリアル(鉄分強化タイプ)などで補いましょう。
次に、ヘム鉄を中心に、非ヘム鉄はビタミンCとセットで摂ることを意識します。週に1〜2回はレバー料理を取り入れ、それ以外の日は赤身肉や魚介類でヘム鉄を補給するとバランスが取れます。
また、鉄製の調理器具を使うことで、微量ですが料理に鉄分が溶け出すことが知られています。鉄鍋や鉄フライパンを使って料理するのも一つの方法です。

よくある質問
Q. 鉄分のサプリメントは飲んだほうがいい?
まずは食事からの摂取を心がけるのが基本です。それでも不足が気になる場合や、医師から貧血と診断された場合はサプリメントや鉄剤の服用を検討してもよいでしょう。ただし、鉄の過剰摂取は胃腸障害や臓器への蓄積リスクがあるため、用量を守ることが大切です。
Q. 鉄分が不足するとどんな症状が出る?
疲労感、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、顔色の悪さ、爪がスプーン状に反るなどの症状が出ることがあります。気になる症状がある場合は、医療機関で血液検査を受けることをおすすめします。
Q. 妊娠中はどれくらい鉄分が必要?
妊娠中は通常よりも多くの鉄分が必要になります。厚生労働省の基準では、妊娠初期は通常の推奨量に加えて+2.5mg、妊娠中期・後期は+9.5mgが付加されています。妊娠中の食事管理については、かかりつけ医と相談しながら進めましょう。
Q. 鉄分が多い朝食メニューのアイデアは?
手軽な朝食としては、ほうれん草入りのスクランブルエッグ、しらす+小松菜のおひたし、納豆ご飯、鉄分強化シリアルにフルーツを添えたものなどがおすすめです。前日の夜に下準備をしておくと、朝は温めるだけで済みます。特にしじみの味噌汁は鉄分と発酵食品を同時に摂れるので、朝食にぴったりのメニューです。
Q. 鉄分を多く含むおやつはある?
プルーン(ドライフルーツ)やレーズン、カシューナッツ、枝豆、干し芋などは鉄分を含むおやつとして人気があります。特にプルーンは100gあたり約1.0mgの鉄分を含み、食物繊維も豊富で一石二鳥です。ただしドライフルーツは糖質も多いため、食べすぎには注意しましょう。
Q. 鉄製のフライパンや鍋って本当に効果ある?
鉄製の調理器具を使って料理をすると、微量ですが鉄分が食品に溶け出すことが研究で報告されています。特に酸味のある食材(トマト、酢など)を調理すると溶出量が増えるとされています。鉄フライパンで野菜炒めを作ったり、鉄鍋で味噌汁を煮たりすることは、日常的な鉄分補給の一助になるでしょう。手入れに少し手間がかかりますが、長く使えるためコスパは良好です。
鉄分補給に役立つ簡単レシピ
レバニラ炒め(定番の鉄分メニュー)
豚レバーを牛乳に30分浸けて臭みを抜き、水気を拭いて片栗粉をまぶします。ニラともやしを用意し、フライパンでレバーを両面焼いたら、野菜を加えて炒め合わせます。醤油・酒・オイスターソース・砂糖で味付けすれば完成。1人前でかなりの鉄分を補給できる優秀なメニューです。
あさりと小松菜のパスタ
あさり(缶詰でもOK)と小松菜を使ったペペロンチーノ風パスタです。にんにくとオリーブオイルで香りを出し、あさりと小松菜を加えて炒め、ゆでたパスタと合わせます。レモン汁を最後に加えることでビタミンCがプラスされ、鉄分の吸収率アップも期待できます。
ひじきと枝豆の炊き込みご飯
研いだ米2合に、戻したひじき、枝豆(冷凍でOK)、にんじんの千切りを加え、醤油・みりん・だし汁で味付けして炊飯器で炊くだけです。非ヘム鉄の多いひじきと枝豆をまとめて摂れる手軽な一品です。多めに作って冷凍しておけば、忙しい日の鉄分補給にも活躍します。
まとめ
鉄分は貧血予防をはじめ、体の健康維持に欠かせないミネラルです。レバー・赤身肉・あさりなどのヘム鉄が多い食品を中心に、小松菜・納豆・ひじきなどの非ヘム鉄も組み合わせて摂るのが理想的です。
ビタミンCやタンパク質と一緒に摂ることで吸収率が上がるため、食べ合わせも意識してみてください。毎日の食事に鉄分を意識して取り入れ、元気な体を維持していきましょう。
参考:健康長寿ネット「ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」|味の素「鉄分の多い食べ物」|済生会「鉄分豊富な食材で貧血予防」

